読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無意味のような生き方

哲学専攻の大学院生が怒りと無念をさえずるブログ。

『Disagreement』を読む:イントロダクション

・同じ人間なのになぜ意見が不一致するのか?

・不一致にはどんな種類があるのか?

・もし不一致が起こったら、どう対処するべきか?

 

という疑問をもったので、『Disagreement』という本をamazonで購入しました。

Disagreement (Key Concepts in Philosophy)

 

やたら面白いので、誰に見せるわけでもないけどレジュメを作りました。

ぜっかくなので公開しときます。

 

イントロダクション(pp.1-7)

《不一致》という現象は、政治、宗教、倫理、スポーツ、哲学、歴史、科学、娯楽、ビジネスにおいてごくありふれたものだ。

 

【世の中にある様々なパターンの不一致】

・2011年USAがリビアに軍隊を派遣したこと
 有識者A「違法戦争。戦争をするためには、アメリカ議会の承認が必要!」
 有識者B「いや、あれは軍事行動であって、戦争ではない。」

 

・キリストの復活
 クリスチャンA「文字通りに復活した(死から生き返った)。」
 クリスチャンB「文字通り(生物学的)には復活していないがメタファーとして復活した。」
 無神論者「文字通りにもメタファーとしても復活していない。」

 

・エレナとクリスの夫婦はどこに住むべきか?
 エレナ「通勤の苦労、金銭面を考慮し、2人の仕事場から近い場所に住むべき。」
 クリス「(エレナの言い分をすべて理解した上で)反対。」

 

・マヤと淡麗(Danling)姉妹の父親が過去に不倫していたか?
 マヤ「不倫していたことを示す証拠がある。」
 淡麗「その証拠は不倫を支持しない(not supportive)」

:マヤはなぜ自身の解釈の方がより良い(better)と考えるべきなのか?

 マヤがもし、自分より妹の淡麗の方が賢いと知っているとしたらどうだろうか?

 

・ディバインと妹アイリーンの中絶。
 ディバイン「中絶は道徳的に許されない。文化的なこと何も知らないが。」
 アイリーン「結婚したくないし、子供を育てるお金もないので、産みたくない。」
:アイリーンは早期中絶ならば悪くないと考えているが、ディバインは何を言うべきか?

 

ディバインは2つの事柄「何をするべきか?」と「何を信じるべきか?」を理解する必要がある。彼は、妹に何を言うべきか決定する必要があるが、同時に中絶の道徳的な許されなさ(permissibility)に関して何を信じるべきか理解する必要がある。彼は、自分より賢い人々が異なる意見(または同じ意見)をもっていることを知るべきだ。

 

【本書Disagreementについて】

この本は、《私たちと不一致する人がいるとき、私たちはどうするべきか?》という問いに捧げられている。もし私たちが不一致を解決することができさえすれば、私たちはおそらく何万もの人々の命を救い、何万もの人々を貧困から救い出すことだろう。ただし、できればの話だが。

 

不一致にかんする中心的問題

1. あなたが信じている事柄について不一致に気づいた時、あなたはまだその信念を持ち続けるべきか?

:認識論の問題。この本の主題。

 

2. 不一致に気づいたとき、あなたはどう振る舞うべきか?

倫理学の問題。この本では扱わない。

 

これまで哲学では、不一致の認識論的問題について、最近までほとんど扱われてこなかった。さらに、最近の論文にしても、私たちにとって重要な実生活(real life)に関わる不一致はほぼ取り上げられていない。この本は、実生活で不一致に直面したとき、どう反応すべきかじっくり考える(deliberating)ことをサポートしてくれるだろう。

 

本書の構成は、以下のようになっている。まずPart1において、不一致の認識論にかんする問題はどのようなものか、ということを示す。Part2において、どのような条件のもとで、不一致に直面したとしても信念を維持し続けることが合理的でありえるのか?という問題を扱う。