無意味のような生き方

組込みエンジニアが怒りと無念をさえずるブログ。

客先常駐3週間で感じたこと

客先常駐とは、文字通り取引先にずっといる(常駐する)勤務形態のことだ。僕は、6月から客先常駐として働いている。客先常駐については、すでに色んなことが書かれている。説明は以下の記事が詳しい。

 

jochu-carrierup.net

 

僕はまだ3週間しか経っていないが、すでに不満や問題点が溜まってきたのでここに吐き出す。正直、どこからが業界的な問題で、どこからが僕個人の問題なのか曖昧だ。もしかすると全部僕だけにしか当てはまらない可能性もあるけど、多めに見て欲しい。

 

どこまでいっても味方ではない

 客先に行くと、自分たちは協力会社という身分になる。一般的に、協力会社は複数いる場合が多い。よって、1つのチームは、客先社員、協力会社A社員、協力会社B社員みたいな形態をとる。それぞれがベテラン&新人のセットで複数人いることも多い。当然、1人があらゆることを知っているわけではなく、役割がきちんと分かれている。そのため、同じチームのメンバーに質問&相談する状況が多々あるのだが、このとき、相手が他社の人だと圧倒的に話しかけづらい。本当に聞かなければならない内容か、相手の仕事を遅らせてまで聞くことなのかと一々吟味しないと聞けないため、個人の進捗がすごく遅れる。また、質問した後でも、相手が「なんで何のメリットもないこいつに教えなきゃならないんだ」と思われていたらどうしようと不安になり、完全に理解していなくても早々に切り上げてしまう。考え過ぎかもしれないが、少なくともウェルカムで教えてくれる状況ではない。結果的に、自分の仕事もすごく非効率だろうし、成長も期待できない。

 

コミュニケーションに関していえば、自チームの人間でもギクシャクしているのだから、他チームかつ他社の人間となれば尚更だ。話しかけるきっかけもなく、目の前にいるのに一切接触がない。相手にとって有益な情報でもなければとても話しかけられない。周りの人のほとんどが名前しか知らず、一言も喋ったことがない。今まで知らなかったが、一日中よく知らない他人に囲まれているのは居心地が悪い。この間、女性社員がお菓子を配りに来ていて、自分はどうなるのかとビクビクしていたら、一つ手前で止まった。素直に傷つく。一概に言えないけれど、同じ会社の人間であれば、知り合いになっておこうという気持ちが少しは芽生えるのではないか。会社が違うので、どこかで「関係ない」と思ってしまっている。これのメリットってあるのだろうか。 

 

見れない情報が多すぎる 

客先社員と協力会社社員の間の情報格差がひどい。パソコンは客先社員の権限のものを使え、自分のノートは持ち込み不可、会社のものは全て持ち出し禁止。仕事の情報は、自分と関係があるものしか見ることができない。そのくせ、「関係がある」範囲が曖昧なので、自分が見れない情報に頼らねばならないことも多い。その場合、客先か他社の人間に協力してもらわねばならないが、そうなると1段落目の問題に直面する。単純に作業が遅れるという時間的な問題もあるが、自分が何をやっているのかわからずに作業をするのはストレスが溜まる。相対的に周りと比較したり、全体からみた自分の位置を把握することで、次にやるべき行動が見つかって主体的に動けるのだと思うが、そのためのルートが閉ざされている。「新人だからしょうがない」と言われるかもしれないが、全体の状況と自分の力量が分かっていてヒヨコになるのと、何も知らないのでヒヨコにならざるを得ないのとでは全然違う。ゴールが分からいので1つの仕事が終わっても達成感がなく、ただ闇の中をもがいている感じだ。(あと、地味にID/パスワードを一日に何度も入力しなければならないのがストレス。電源を切るたびにリセットされてんじゃねえ。頑張れ。) 

 

 目標が見つからない  

実際に一番苦しいのはこの問題だ。上の2つの問題は辛いとはいえ、自分の行動次第では改善していけるものかもしれない(ただ、やらないで済むならやらない方がいい。)だが、この問題は努力でどうにかなるものではない。働く目標は何種類かに分けることができると思う。「出世(認められたい)系」「スキルアップ系」「良いものを作りたい系」など。客先常駐だと、これらすべてが見出しづらい。

 

まず、「出世系」は、働く場所の問題で難しい。基本的に評価する人は自社にいることが多いだろうから、その人にアピールをすることはできない。もちろん、仕事を頑張って間接的にアピールすることはできるけど、出世のために頑張るのは難しそうだ。仕事を頑張ることくらいしかないので、「上に行くために..」みたいな目標はなかなか結びつかない。それに比べて「スキルアップ系」は少しはマシかもしれない。だが、上で述べた2つの問題が壁になるので、スキルアップできる環境を自ら作るらなければならないだろう。「良いものを作る」ことについてだが、そもそも自分が作っているという実感がない。また、今はともかく、永久に創造的な仕事ができない(ように思える)のがつらい。言いたいことを言える場がほしい。

 

まとめると、客先常駐は目標が立てづらく、目標が立たなければ、仕事のモチベーションは上がりづらい。 

 

 

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「打たれて強くなる」という言葉がある。今の勤務先に決まったとき、部長から言われた言葉だ。厳しい環境の方が辛いことは多いけれど、その方が人は成長できるという。しかし、この言葉は「人は鉄である」ということが前提となっている。だが周知のように、人は鉄ではない。

 

やたら愚痴ばかり書いてしまったが、どうせならこれらの問題を解決したい。自分の問題としても、業界の問題としても。今は何も思いつかないけれど、問題を頭の片隅においておこうと思う。