無意味のような生き方

組込みエンジニアが怒りと無念をさえずるブログ。

ファミレス譚

週に3日はファミレスに行く。大学院生が勉強する場所となると家か図書館か研究室かファミレスくらいしかないが、この内パソコンが使えて、なおかつ快適なネット環境がないという条件をみたすのは、ファミレスだけなのだ。 ファミレスに入るとき必ず聞かれるのは、「何名様ですか?」と「喫煙席ですか、禁煙席ですか?」の2つである。最初の質問には、無言で真ん中の方の指を一本突き立てればいいとして、後の質問にどう答えるかは毎回非常に悩む。タバコは吸わないので、普通なら迷わず禁煙を選ぶところだろうが、様々なファミレスに通い慣れている僕は、禁煙席がいかにうるさく、しかもどれほど混んでいるかを知っている。そのため、たいていは喫煙席を選択するのだが、ごくまれに喫煙席の方が五月蝿くて混んでいるという状況があり、その場合、端的に損をする。あと最近は喫煙席であってもタバコを吸う人の割合が半々だったりするが、たまに席にいる全員がタバコを吸うというガチな喫煙席だという状況がある。この場合も集中はあまりできずに、ただただ肺がんのリスクを高めて帰ることになる。

 

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困ることは他にもある。例えば「ピンポン」を押すタイミング。混雑時は店員さんが忙しいので、なかなか来てくれないことが多い。だが、あれを何度も押すのは恥ずかしい。「僕にかまって!!」と言っているような気がするからだ。そこは余裕のある24歳学生として、一回押したら10分くらいは泰然と待っていたい。その間に店員さんがやって来て「すみません」と謝っても、気にしないどころかむしろ忘れてたくらいの空気を発せれる人でありたい。 とはいえ最も良いのはやはり一回で決めることだ。一回で気付かれないのは、「存在感のなさ」の点ですでにマイナスである。その後でいくら気にしない仕草をしていても、結局負け戦であることに変わりはない。できることなら一発で決めたい。そう思って僕はいつもベストなタイミングで押すようにしている。入ってくる客はいないか、1分以内に誰もピンポンを押していないか、今から押そうとする客はいないか、フリーの店員さんはいるかなど、あらゆる状況を考慮して、ピンポンを押す。

 

昨日もそうだった。奥のテーブルを確認しに行った店員が、帰ってくる時に僕の近くを通りかかった。ここしかないと思った僕は、全てを賭けてピンポンを押す。「ピーンポーン」の音が鳴って、店員が立ち止まる。しかし、誰が押したかまだわかっていない。まあ、すぐに確認してこっちに来るだろう。だがその時、僕の真横の席にいた数人の客が、「すいません注文なんだけど」と店員にダイレクトに声をかけた。「はいただいま」と僕を無視して注文を聞きに行く店員。その横で固まる僕。店員は僕が押したことを多分気づいてないからよいが、横の人々は確実に知っているはずだ。そう思うと急に恥ずかしくなってくる。メニュー表をじーっと見る作戦でなんとか乗り切る。注文を取り終え、店員はそのまま去っていった。取り残される僕。 その後何分経ったか忘れたが、横の席の人たちがドリンクバーに席を立った時を見計らい、僕は二回目のピンポンを押した。内気らしい最後といえる。

 

2015.5.27に書いた記事を一部修正したもの