無意味のような生き方

組込みエンジニアが怒りと無念をさえずるブログ。

最終日に早く寝たら勝ち

2日前に映画の『何者』を見た。流石にもう刺さらないかと思っていたけれど、思い切り直撃した。「10点でも20点でもいいから、自分の中から出しなよ。」「自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。これから目指すことをきれいな言葉でアピールするんじゃなくて、これまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ。自分とは違う場所を見ている誰かの目線の先に、自分のものを置かなきゃ。そうでもしないともう、見てもらないんだよ。」あああああごめんなさい。

 

もうずっと組込みOSを作っているけれど、なかなか完成しない。今年の正月、"helloworld"が表示される所まで出来たので友達に見せたところ、優しく注意された。「プログラム初心者がみんなできる事だから凄さが伝わらない。何が凄いかをプレゼンしてほしい」と。その時は正直ムカついてしまったけど、今思うとすごく優しいと思う。ほんとね、誰も自分がどうやって作ったかなんて見てないし、見ようともしないよね。自分が見せたものでしか評価されないよ。12日に軽く発表する機会がある(かもしれない)ので、そこで頑張れたらひとまず成功だと思いたい。

 

GWは2日休んで1日飲む、みたいな生活をしていた。

 

 

イオンはいつも悲しい

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イオン2階のベンチに座って外を眺めているおじさんだ。土日の昼間はすごく人が集まる場所に、平日の夜に行く贅沢よ。普通の人が車や電車を使ってたまに行く場所に、毎日歩いて行ける便利さを噛みしめる。だが、そんなものは最初の2,3回で弾けて、後はとにかく寂しい。誰かと行くイオンと誰とも行かないイオン。前者は楽しむための1要素だが、後者は無機質な物体でしかない。何もない人生は長すぎる。が、今の暮らしももうすぐ終わる。その後どうなるのかわからないが、いい加減にしたい。色々と。

 

プロトタイプ若者論

若者のプロトタイプは2種類ある。

 

1つは、バカで、元気と体力が有り余っている。先輩にはYES or はいで返事をし、自分のことを最強だと思っている。今はまだ実力はなくとも、無限の可能性があると信じており、若い時期が一番楽しいと思っているタイプ。

 

もう1つは、暗く、メンヘラで、死にたがり。神経が過敏で周りの事を異常に気にする割に、気遣いはできず、周囲からの好感度は低い。将来には不安しかないが、何をやっていいかわからずに悶々としており、若い時期は苦しいと思っているタイプ。

 

どっちが多いとかいう話ではない。人々が「若い人は・・」と話し出す時、頭に浮かぶ若者像が違っていると会話が噛み合わないという話だ。この間、僕が食事中にハンカチで顔を拭いた時、ある人から「若いのにハンカチ持っていて珍しいね。自分が若い時はハンカチなんて持ってなかったなあ」と言われた。だが僕は、若い時の方がむしろ汚れを気にしてハンカチを持ち歩くんじゃないかと思ったし、年を取ると周りを気にしなくなって持ち歩かなくなるんじゃないかと思った。頭の中の若者のプロトタイプが違うから、不一致はしょうがない。

 

無理矢理結論を出すなら、主語が大きいと不一致が発生しやすい、という超(スーパー)ベタな事だろうか。若者プロトタイプのうち、どっちが正しいという事もないけれど、2つ目だと良いことがある。それは、若い時が苦しいため、そこからだんだん良くなっていく可能性が高いということだ。根拠はオードリーのオールナイトニッポン

 

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石川啄木記念館

 

『住まいから寒さ・暑さを取り除く』(1)

あらすじ

建築温熱環境のバイブル。「気密化とは、密封することではなく開放化のための手段です」「あなたが望んでいるのは冷暴ですか、それとも冷忘ですか」断熱の重要性から自然エネルギー利用、第1次産業の話題まで、哲学的な思考、独自の視点で語る。

 

内容

どんな分野でも、調べていくと必ず複数の主義や思想に出会う。人や部屋を「暖める方法」についてもまた、相反する2種類の考え方がある。

 

①採暖:暖を採る。寒さの中にあって、暖かさを摂取するという考え方。

例)こたつ、いろり

②暖房:房(空間)を暖める。一定の空間全体を暖めるという考え方。

例)断熱住宅

 

比較的寒さが厳しくない地域では「採暖」の考え方がとられ、厳しい地域では「暖房」の考え方がとられがちである。理由は、寒さの厳しい地域においては、たとえ一部であっても寒さが残っている状態では、快適さは得られないからだ。(問題が小さいうちは生活の一部に取り入れて無視しようと試みるが、あまりにも大きすぎるとそれ自体のために生活を変えざるを得ない。)それに対し、寒さの厳しくない地域では、「採暖」の考え方がとられがちである。寒い空間全体をなんとかしようというのではなく、コート・こたつなどといった「パッチ的」な対応をすることで、どうにか普段通りに過ごそうとしている。

 

「寒さが厳しい地域では使えない」以外に、採暖には別のデメリットもある。人がいる部屋だけを暖めるため、水道や排水が凍結して使えなくなってしまったり、部屋の中にいても足は冷たく頭は暖かい、といった状態が発生し、体調に悪影響を及ぼす。

本書は完全に「暖房」推しである*1

暖房をする上で最も大事なのは、暖かい部分と寒い部分を分ける「断熱」の思想だ。どこからどこまでを暖かくするかという「房の範囲」を明確にすることで、それに応じた適切な暖め方を採用する必要がある。採暖の場合、玄関や廊下や寝室が寒いのは当然のこととされているが、暖房の場合は、基本的に家全体を一つの房と考えるのが一般的だ。そして、ひとたび暖房エリアを定めた後は、その範囲を徹底的に死守する。つまり、その空間の熱損失をどれだけ抑えられるか、という事に全力を尽くすべきだ。暖房の設備は必要最小限とし、持続して使用できるようにする。

 

感想

本書の「暖房」の考え方を人に応用できないだろうか。人が外に出る場合、東京では完全に採暖の考え方だ。(暖は採っていないが局所的対処であるという意味で。)コート、マフラー、ニット帽など、寒さを感じやすい箇所を部分的にガードして、放熱を避けている。
ここでもし「暖房」の思想を導入するとどうなるだろう。そのためには房の範囲を決める必要があるが、これが難しい。毛皮で全身コーティングされている動物とは違って、人体は基本的にむき出しで外に接している。もし人体を覆うとすれば、「皮膚」か「服」くらいしかない。ただし服の場合、手袋やニット帽など部分的なモノしかないため、全身を覆おうとすれば個別で揃える必要がある。ただそれでも既存の製品だと、「顔」だけは難しいかもしれない*2。ただ、これは部屋でいうところの、ストーブを家のあらゆる箇所に大量に配置するのと同じだ。
服の内と外を区別するためには、オールコーティングされているのが望ましい。

服は今の所難しそうなので、皮膚はどうだろうか。皮膚は感覚器官と近すぎるため、感覚をごまかすくらいしか思い浮かばないが、健康上よろしくなさそうだ。皮膚は露出しているので、太陽光発電して自炊することはできたりしないだろうか。

服、皮膚以外だと、以下の候補はどうだろう。


・カプセル

カプセルで覆われた個人が移動する近未来では、この問題はとうに解決済だろう。

 

・ドローン

1人1台といわず、3台くらいドローンがずっとついてきて送風してくれれば、熱のカーテンができて上手くいくかもしれない。

 

・地球
「房」を地球全体と考え、温暖化を促進する。進捗率でいえば悪くない。

 

 

*1:暖房といっても、エアコンがこの思想に合致している訳では全く無い。多くのエアコンは部屋の上の方に設置されているが、これだと暖かい空気が上に集まるため、部屋全体を暖めるのには向いていない。また、日本のエアコンには必ず送風機がついており、これは「ある対象を暖める」という採暖思想の現れであることは明らかだ。

*2:マスクとゴーグルでいけないこともない

防寒グッズの性能を確かめるために岩手に行く(2)

前回の記事

ikenohotori.hatenablog.com

 

3月29日。盛岡で朝を迎えた。スマホ音声認識で唯一使っているアラーム機能を駆使して、どうにか10時ギリギリに出発する。「チェックアウト」というしくみがなかったら、夕方までホテルから出れなかったと思う。ルールを守るのは苦手で、なくなれば良いのにと思うことが多いが、ルールによって行動できている部分も大きい。盛岡駅前で十分寒いので、防寒グッズはすでに着込んでホテルを出た。

 

今日はメインである本州一寒い地域「藪川」の岩洞湖に行く予定。昼にならないとバスも来ないようだったので、市内をブラブラすることにした。

 

七十七銀行

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長崎に十八銀行というのがある。数字に意味があるのだろうか。調べてみると、明治時代に1~153番まで設立された国立銀行の名残らしい。日本に8行(コウ)しかないらしいので、コツコツ集めたい。


盛岡歴史館。

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怖い。 人が誰もいなかった。平日の昼だということを思い出す。

 

途中、大きな本屋に寄っている間にバスに乗り過ごし、結局14時というド昼間にバスに乗った。盛岡駅でウロウロしている間に、半袖の女子を発見しており、たしかに体感はそこそこ暖かいのではないかと感じ始める。岩手まで来て、私は一体何だったのかとまたしても意味を失いかける。

 

杞憂だった。

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格が違いすぎる。東京では経験することがない雪の量。そして寒い!考えるまでもなく耐えられないという結論が出た。車も3台くらいしかないし、人も全然いない。

 

 防寒グッズは以下を身に着けていた。

 

【感想】 

・結局、手、首、顔が寒い。つまり、防寒グッズの性能にかかわらず、露出している部分が結局一番寒い。むき出しの部分に注意が向くので、防寒グッズの箇所の性能がよくわからない。

・ただ、盛岡駅など、手や顔が耐えれるレベルの寒さの箇所では電熱ベストに効果がある。電熱ベストを着ている時は何も感じないが、着ずに外に出るとやはり寒さを感じる。

・たった1枚のダウンだが、脱ぐのがしんどい。室内ではコートとダウン2枚の上着を脱いだり着たりする必要がある。これが意外としんどい。

・モバイルバッテリーが重すぎるしポケットに入らない。日常で使うには覚悟のハードルが高すぎる。寒さを凌ぐために、他の不快なこと(服が重い)に耐えなければならないのは本末転倒である。「耐えない」ことが目的なのに。

・これ以外にも電熱ベストを持っていったが、これが一番良かった。暖かくなるスピードが早い気がするし、熱を放出しなくても暖かい(元も子もない。)

・寒い地域では「断熱」の方が圧倒的に大事。一部を暖めるよりも、オールコーティングされている方が大事。周辺の家も、暖房はそこまで効いていなかったが、耐寒構造のおかげで寒くなかった。

 

上のメモを書いたところで、帰りのバスを調べた。田舎とはいえ、30分に1本くらいはあるだろうと思っていた。次のバスは1時間40以上先の17時16分。このままだとすぐ死ぬので隣の食事処に入った。すでに注文は終わっているとの事だったが、事情を伝えると、17時まで誰もない店の中で休憩させてもらえた。

 

おばさんA「今日はワカサギ釣り?」

僕「いや、そういうわけじゃないです」

おばさんB「釣りしないのに来たの?」

僕「はい、ただ寒い所に行きたくて」

 

40分ばかり一緒にいたけれど、異邦人感がぬぐえず、最後まで固まった空気がほぐれることはなかった。その代わり、帰りの新幹線代14500円が無事溶けたのでした。おしまい。

 

防寒グッズの性能を確かめるために岩手に行く(1)

毎年、毎年、冬が来ると猛烈に嫌になって、夏が来ると忘れる現象を繰り返していたのだが、今年の冬もやっぱり嫌だった。冗談みたいな寒さの日が何日か続いて、ただただ耐えて、時には寒さに気づかない振りをして過ごしていた。会社の場所が海沿いにあるので、年中猛烈に風が吹き荒れているが、とにかく寒いわ髪は崩れるわで、メリットのなさに腹が立つ。最近、『ファストアンドスロー』という本の上巻を読んでいるが、この本で言われているシステム1(主に直感)とシステム2(主に思考)という脳のシステムのうち、「寒さを我慢する」というのがシステム2の役割だと知った。システム2には限度があって、すぐに消耗する。寒さを我慢することにはなんの得もないのに、貴重なシステム2を消費するのはもったいなさすぎる。システム2をもっと意味のあることに使うために、寒さを我慢しなくてすむようになりたい。

 

2月の終わりに防寒グッズを買ったが、今までの習慣から抜け出せず、数回しか使わないまま3月の中旬を迎えてしまう。3月の中旬、東京はすごく暖かく、これからずっと春が続くのではないかと思っていた。このまま暖かい日が続けば、寒いという不満に何の対策も講じないまま、来年の冬を迎えてしまう。そして次の冬が来て、また同じように嫌悪と忘却を繰り返すことになる。想像すると、急に焦りを感じるようになった。なんとか今年中に防寒グッズを試せないだろうか。東京はもう春になってしまったが、東北はまだ冬なんじゃないだろうか。

 

3/21の平均気温を調べてみた*1
1位:北海道宗谷岬(-4.4℃)
2位~74位:北海道の地域
75位:岩手県盛岡市藪川(-0.8℃)
76位~100位:北海道の地域

 

寒さよりも北海道のすごさが際立つ!75位を除いて、100位以内はすべて北海道だった。九州の人間からすると、新潟も青森も北海道も同じくらいの寒さかと思っていたが、実際は北海道のほうが確実に寒いらしい。そうなると逆に、北海道じゃないのにランクインしている75位の藪川という地区が気になった。色々調べていくと、この日だけではなく、安定して寒いということがわかった。標高が高い(680m)ことと、にもかかわらず盆地のために冷気が貯まることが寒さの原因らしい。ただ高くて寒いというだけで(?)「日本のチベット」と呼ばれているそうだ。

 

3月の給料が入ったら、行ける。前田裕二さんの『人生の勝算』というビジネス本を読んで気分が高揚していた僕は、その勢いで盛岡のホテルを予約した。行く1つ目の目的は、「防寒グッズの効果を見極める」こと。寒さの本場で試してみて、どのくらい使えるのか検証したい。大いに効果があるなら今後使えるので嬉しいし、効果がないならないで、やることが残っていてうれしい。2つ目の目的は、「自分はどれくらい寒さが嫌なのかを知る」ため。寒いことを自分の人生のでどの位の大きさの問題と考えるか。これから続く暖かい日々を、寒さ対策のために使えるかどうかを判断したい。

 

※だが意気込んでいた矢先、25日くらいから東京がめちゃくちゃ寒くなり、やる気を急激に失った。元来のだらけ癖と相まって、前日の深夜2:00になっても、荷物を1つも準備できない(次の日は仕事)。でもホテルのキャンセル料が発生してしまうので、しかたなく服と充電器類を鞄に詰めて寝た。直前のビジネス本で学んでいた「コミットメントは大事」という理論を肌で実感することになった。

 

3月28日、仕事終わりに荷物をコインロッカーにぐちゃっっと預け、新幹線で盛岡へ向かった。

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そういう管理は無理

コインロッカーに預ける際、社員証をどうするかで本気で悩んだ。ロッカーに入れっぱなしにするか、旅行に連れて行くか。岩手の路上で落としたら、もう二度と戻ってこないだろう。ただ、ロッカーに入れておくと、僕の性格上、回収が面倒になってそのまま放置する恐れがある。考えた挙げ句、旅行カバンの方に入れて岩手まで持っていくことにした。一蓮托生の旅。

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 到着した。

 

〈続きの記事〉

ikenohotori.hatenablog.com